プーチン大統領と電話会談したバイデン大統領(提供:The White House/ロイター/アフロ)

 2月11日、米三大ネットワークのCBSが過去3日間に実施した世論調査の結果を発表した。その結果を見ると、「ロシアとウクライナの問題から離れていた方が良い(stay out)」は53%で、「ウクライナを支援せよ」の43%を10ポイント上回った。リベラルメディアのCBSは「少し多い<slight majority>」と表現しているが、米国民の意見として、調査対象者の過半数が「ウクライナ問題からは距離を置け」と言っているのは事実である。

【参考資料】
Between Russia and Ukraine, Americans say either stay out or side with Ukraine - CBS News poll(https://www.cbsnews.com/news/ukraine-russia-u-s-involvement-opinion-poll-02-2022/)

 また同じ調査で、バイデン政権のロシア外交に対しては60%が「disapprove」で、対中外交の59%をわずか1ポイントながら上回った。この世論調査は、男女別、イデオロギー別(リベラルか、保守かなど)でも分析可能だが、総論として、米国民の強い支持を得ていないのは確かなようだ。

 ウクライナ支援への支持者の理由も、(1)(東欧における)地域の安定、(2)民主主義を守る、が上位に来ているが、そのために米国民が血を流すことを真剣に考えている米国民がどれほどいるのだろうか。実際には、そこに選択肢があったから選んだという程度のように感じる。

 ちなみに、1カ月前の拙稿「危険水域に達したバイデン政権の支持率とヒラリー待望論のなぜ:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68463」の時と比べて、バイデン大統領自身に対する支持率スプレッド(支持と不支持の差)は20ポイントを下回る小康状態を取り戻してはいる。ただ、時系列のグラフを見れば、悪化トレンドは止まっていない。

【参考資料】
President Biden Job Approval(https://www.realclearpolitics.com/epolls/other/president-biden-job-approval-7320.html)

 この世論調査が示しているのは、米国民の意思として、バイデンの対ウクライナ情勢での行動に制限をかけつつあるということだ。一方、プーチンは米国の世論を見越したような言動を取り始めている。では、どのような変化が生じつつあるのか、具体的に見て行こう。