北京五輪のフィギュアスケート団体戦・女子フリーで転倒、中国のSNS上でさんざん叩かれた米国出身の朱易選手(2月7日、写真:新華社/アフロ)

今後開催の五輪はすべて民主国家

「外交ボイコット」した北京五輪を米国はどう見ているのか。

 北京五輪に男女ホッケーチーム18人とクロスカントリー、カーリングの選手を派遣しているミネソタ州のブロック紙「スター・トリビューン」(発行部数25万部)は2月3日の社説でこう書いた。

「ジェノサイド(集団虐殺)・オリンピックが開幕した。国際オリンピック委員会(IOC)の決定は許せない。2022年の開催国は最終的には人権を無視した中国か、カザフスタンに絞られて、北京に決まった」

「ミネソタが送る選手たちには米国の代表として頑張ってほしい」

「幸いなことは、次回2026年の冬季オリンピックはイタリアのミラノ・コルティナに決まっている。夏季は、2024年はパリ、2028年はロサンゼルス、2032年はブリスベンとすべて民主主義国家の都市で開催することが決まっている」

「IOCは今後、専制国家を開催国にしないことを強く要望する」

https://www.startribune.com/chinas-despotism-dims-olympic-games/600142800/

 開会式当日に習近平中国国家主席に送ったのは祝電ではなく、弔電にも等しいメッセージだった。

 こうした米国民の声を反映して米下院は2月4日、中国に対抗し、先端技術の競争力向上を図る「米国競争力法案」(America Competes Act of 2022=H.R.5101)を可決した。

 半導体生産・研究に5年間で520億ドル(約6兆円)の補助金を投じ、戦略物資のサプライチェーン(供給網)拡充に450億ドルを充てるのが主柱だ。

 同趣旨の法案は上院でも可決しており、今後上下両院の間で法案調整が始まる。

 同法案ともに、中国・新疆ウイグル自治区でのジェノサイドを念頭に、IOCが人権侵害国を五輪開催国に選定しないよう訴えた一項が盛り込まれた。

 バイデン政権だけでなく、米立法府が習近平氏に突きつけた「挑戦状」だ。

https://docs.house.gov/billsthisweek/20220131/BILLS-117HR4521RH-RCP117-31.pdf