米連邦最高裁判所

共和党の逆転が予想される11月の上院選

 ジョー・バイデン米大統領は1月27日、今夏引退するリベラル派スティーブン・ブライヤー連邦最高裁判事(83)の後任に、初の黒人女性を充てる意向を明らかにした。

 同氏は、2020年の大統領選の際に、欠員が出た場合は黒人女性を起用すると公約していた。

「(最高裁判事に黒人女性を充てるのは)遅すぎたほどだ。歴史的な候補を指名する」

 ドナルド・トランプ氏が大統領だった4年の間に3人(保守派2人、中道派1人)の判事(終身制、例外として健康上の理由から引退も可能)が引退した。

 トランプ氏はその後釜に3人の白人保守派を押し込んだ。

 毀誉褒貶の激しいトランプ氏だが、この人事は保守派から「トランプ政権最大の業績」と高く評価された。

 中道派の後任にまで保守派を指名し、最高裁判事の勢力図を保守派6人、リベラル派3人に塗り代えたからだ。

 最高裁がなぜそれほど重要なのか。

 建国時から最高裁は党派政治の「主戦場」だった。行政府、立法府にとってもその政策の是非を最終的に判断するのは司法府である。

 その判事9人を指名するのは大統領だが、承認するか否かは上院の専権事項だ。

「三権分立」は見事なまでに機能してきている(最高裁の9人の判事が指名してくれた歴代大統領から完全に独立した良識の持ち主であれば、の話だが)。

 共和、民主の二大政党の最大の争点は、建国時から連邦主義か州権主義か、だった。大統領選、そして連邦議会選で激しい論戦がかわされてきた。

 最高裁ができて232年経った今でも、共和党と民主党との基本的な争点は「大きな(連邦)政府か」「小さな政府か」という点では変わっていない。