ロシア産原油などの輸入禁止を発表するジョー・バイデン大統領(3月8日、写真:AP/アフロ)
石油・石炭禁輸に米国民は反発
ジョー・バイデン米大統領は3月8日、ロシア産の原油、天然ガス、石炭と関連製品の輸入を全面的に禁止すると発表、大統領令に署名し、即日発効させた。
英政府も同日、ロシア産原油の輸入を停止すると発表した。年末までに段階的に削減する。
米国は、8日からロシア産の石油、天然ガス、石炭や関連製品の新規購入ができなくなった。
米欧はこれまでウクライナに侵攻したロシアへの制裁について、燃料価格などの高騰につながりかねないとの懸念から、エネルギー産業を対象から外していた。
歴史的なインフレが米国を襲っているとはいえ、連日のように報じられるウクライナ避難民や破壊される街並みの映像にバイデン氏もこのままではいかなくなってきた。
ウラジーミル・プーチン指揮の下、どこまでも手を緩めぬロシアがウクライナ侵攻で攻勢を強める現状を踏まえて追加制裁が必要と判断した。
その直後、米国内のガソリン価格は急騰し、米市民の日常生活にも影響を及ぼし始めた。
ロシアの主要な外貨獲得手段であるエネルギーの輸出を制限して経済を追い込む狙いがあるのだろうが、米市民にとってウクライナ戦争は「対岸の火事」。
同情はするが、できることは対ロ経済制裁と対ウクライナ軍事援助、そして口先だけ(?)の対ロ非難だけ。
これで情勢が大きく変わる気配はない。少なくとも、米国民の34%は「ウクライナの問題だ」と答え、米軍の投入には63%が反対している。
この現状認識は微動だにしない。