世界最大の飛行機「アントノフAn-225」

 ロシアがウクライナに侵攻し、21世紀にこのようなことが起きるのかと驚いている。市民生活が破壊され、多くの方々が亡くなっていることには言葉もないが、世界最大の航空機アントノフ「An-225」の破壊も衝撃的だった。

 An-225はソ連版スペースシャトルのブランを空輸するために製造された。

 最大離陸重量は600トンと言われ、他のどの航空機よりも大きい。他の航空機では運べない大型貨物輸送に活躍してきた。

 航空業界の方でなくても、An-225が東日本大震災後に救援物資を運んできたことをご記憶の方もいらっしゃるだろう。

 そこまで数は多くないと思うがAn-225でなければ輸送に困るサイズ・重量の貨物も確かに存在する。産業的にもAn-225の喪失は打撃だ。

破壊の場所と様子

 An-225はキエフ郊外のホストメリ空港で、屋根付きの整備場で整備を受けていたところを攻撃された。

ホストメリ空港(2009年)

 ホストメリ空港は、航空機メーカー アントノフが飛行試験を行うとともに、貨物輸送を行うアントノフ航空の基地だ。軍用空港という報道もなされたが、これは正しくない。

 ホストメリ空港には、大型格納庫1棟とかまぼこ型の屋根が設けられた整備場があった。この整備場が爆破され、駐機していたAn-225が巻き添えを食った形だ。

An-225が破壊された整備場(2010年)

 現状、鮮明な写真は出ていない。しかし、日本時間3月3日の夜から出回った動画から、破壊の程度が読み取れる。

 前方から機体を見た動画だが、本来なら見えるはずのコックピットが見えない。ノースカーゴドアと思われる丸っこい物体のみが、転がっている

 また、両翼の間がくぼんでいるように見える。左右の主翼を繋ぐ中央翼と呼ばれる構造が、無くなっている。中央翼からコックピットにかけての部分が、爆破されたか焼け落ちたようだ。

 不鮮明ではあるが、左舷内側のエンジンはあるべき場所にあるように見える。主翼の再利用に期待したくなる。また、別の写真から読み取れるところでは、尾部は比較的原型をとどめている。

 しかし、仮に再利用可能だとして、バラバラの尾部と主翼を一機の飛行機にすることは、再製造に近い困難さがある。