ロシアのミサイル攻撃を受けたキエフのテレビ塔(3月1日、写真:ロイター/アフロ)

奇妙な行動示すキエフ付近のロシア軍

 3月1日頃の画像衛星の写真では、ウクライナの首都キエフ北方の道路に戦車と車両機動部隊、その支援部隊が約60数キロにわたって長蛇の列をなして停止しているのが見える。

 通常の作戦ではこのようなことはない。長蛇の列であれば、列のどこかが攻撃され破壊されただけで、車両縦隊全車両が全く身動きができなくなるからだ。

 このように敵に対して重大な弱点を露呈していると、空中あるいは地上の遊撃部隊から攻撃を受ける。

 戦車や装甲機動車が自由に動けなくなって停止していると、次から次へと攻撃されて全滅の危機が訪れる。

 それなのに長蛇の列をなしているロシア機動部隊は、攻撃されることはなく停止している。

 米国の情報では、これらの戦車などは、燃料などの補給が欠乏しているからだという。

 しかし、戦車などはいったん燃料を入れると、次の燃料補給までに200~300キロは継続して走行できる。

 ロシア軍戦車部隊などは、ベラルーシを出発したとすると、まだ100キロも走行していない。燃料補給がないから長蛇の列で停止しているという理由はあり得ない。

 もしも燃料が欠乏しているのであれば、この情報を得たウクライナ軍は、これらの長蛇の列の戦車などに対して、対戦車ミサイルやロケットで攻撃してもよいはずだ。

 しかし、ロシア軍が攻撃を受けている様子はない。NATO(北大西洋条約機構)も映像を公開しているだけで、軍事的には何もできずにいる。

 この時期に、ロシア軍がほかに実施していることは、ミサイル攻撃と砲撃だ。

 その射撃も著しく増加している。ウクライナの都市の建物は破壊され、市民に多くの死傷者が出ている。

 テレビ塔付近も攻撃され、ウクライナ政府軍はそう遠くない時期にテレビ映像も送信できなくなる可能性がある。