ロシアのウクライナ侵略は世界に衝撃を与えた

 ロシア軍は2月24日に、ウクライナ侵攻を開始した。首都のキエフや東部の都市を爆撃しつつ、ミサイルや地上軍による攻撃を行っている。

 その3日後、プーチン大統領は核戦力を含む核抑止部隊(戦略ロケット軍など)に、即応態勢を「高度の警戒態勢」に上げるように命じた。

 数日後の3月2日、ラブロフ外相も、もし第3次世界大戦が起これば、「核以外にあり得ない(核戦争に発展する)」と、核兵器を準備していることをにおわせ、NATO(北大西洋条約機構)を恫喝した。

 この時代に、まさか多くの人々を殺傷するような侵攻は実施しないだろうという期待もあった。

 だが、プーチンの凶暴性によるものなのか、それが決定され実行されている。さすがに核兵器までは投入してこないだろうとは思うのだが、凶暴なプーチンが判断するのだからあり得るかもしれない。

 ソ連邦崩壊後、核兵器の運搬手段も多く破棄されてきた。INF(射程500~5500キロの核戦力)全廃交渉締結に伴い、中距離弾道ミサイルが廃棄された。同時に旧式の通常兵器も不要な部隊も解体されてきた。

 しかし、ソ連崩壊後約10年、プーチンが2000年に大統領に就任してからは、核・ミサイル兵器の再整備や核ミサイル部隊の運用が開始された。

 つまり、核ミサイル部隊を実際に運用できるように再編成し始めたのだった。これらは、何のためなのか。今現在の動きと繋がっていると考えるのが妥当であろう。

 核兵器の最大の脅威というよりは、現実的な脅威という視点に重点を置き、「核兵器を使う」という脅しができる根拠と日本の現状を考察する。