2021年10月20日、北朝鮮のSLBM発射の様子をテレビで観るソウル市民(写真:ロイター/アフロ)

 北朝鮮は、2021年10月19日、新浦級弾道ミサイル潜水艦(SSBまたはBMS)から弾道ミサイル(SLBM)を1発発射し、このミサイルは、最高高度約50キロを変則軌道で約600キロ飛翔したと公表した。

 ミサイルの発射実験はほぼ成功した。だが、発射母体であるSSBには、大きなトラブルがあったようだ。

1.新浦級潜水艦、進水以来初の乾ドック入り

 38ノース(商業衛星を使用して、北について画像解析を専門に行う米国のシンクタンク)の情報によれば、2021年12月13日に、新浦港の東方近くの乾ドックで、水が完全に抜かれた状態でこの潜水艦が置かれていた。

 つまり、衛星からは完全に丸見えの状態になっていたのだ。

 潜水艦、特に弾道ミサイル潜水艦は、その能力を隠すために、陸上に挙げられた状態で艦を晒すことはあり得ない。2014年に新浦港に出現してから初めてのことであった。

 新浦港内の偽装網を張り巡らしているところではなく、艦を完全に晒す状態で置いたことは、特別で大掛かりな修理を行う必要があったからだろう。

 12月28日の乾ドックには、その姿はなく、新浦港に戻っていた。

 つまり、短期間で修理を行い、元の新浦港のいつもの埠頭に戻された。北としては、かなり急いで改修を実施したようだ。

2.発射後、発射管の蓋が半開きに

 北が公表した新浦級SSBや飛翔するSLBMの写真を見ると、潜水艦は浮上中であったが、ミサイルの発射管の蓋が半開きのままであった。

 半開きということは、あってはならない異常な状態である。

 発射管の蓋が半開きのままで、閉まらないということは故障したということだ。

 本来は閉まるはずなのに閉まらなかった大きな原因は、発射時に発生したものであろう。この後、作戦上どのような問題が発生するのか。