フィリピン海に展開する空母カールビンソンから離陸しようとするF/A-18E戦闘機(米海軍のサイトより、2021年12月29日)

 前回の記事(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68108)では、中国が、広大な西太平洋上の米空母を発見し、その位置を特定するために、エリント偵察衛星を打ち上げて情報収集を行ってきたことを述べた。

 今回は、日本と台湾周辺で、爆撃機を囮として接近させることにより、日米台の軍事態勢を解明しようとしていることについて解説する。

 中国軍の爆撃機や情報収集機は、中国に面した側ではなく、日本の背後となる太平洋側の経済水域に侵入し、領土に接近している。

 台湾に対しては、中間線を越え、南と北側から台湾の背後の海域まで侵入してきている。

 国家に対するこれらの軍事的威嚇は、極めて異常な行為であり許されるものではない。

 これらの行動は、軍事的な威嚇と広く認識されているが、ほかにもう一つ隠された狙いがあった。

 それは、日本・台湾との戦いを想定(準備)するための行動だ。この狙いを解明するために、

①中国軍の情報収集の要は何か

②中国軍爆撃機等による日本・台湾への軍事的威嚇行動

③爆撃機を日台に接近飛行させた時の日台がとる防空行動

④爆撃機と行動を共にする情報収集機の狙い

⑤台湾のどの地域の情報を収集しているのか

⑥日本のどの地域の情報を収集しているのか

⑦威嚇しつつ日本の軍事情報を収集する狙い、の順に考察する。