砂漠で夜間のミサイルの発射訓練を行う中国軍(7月28日、China Militaryより)

 2013年頃から我々軍事研究者の間で「中国の対艦弾道ミサイル(ASBM: anti-ship ballistic missile)は完成したのか」「飛翔軌道を修正して、動く米空母に命中させることができるのか」を議論してきた。

 特に、命中できるかどうかについて、技術的に可能か、実際に動く軍艦を目標に実験を実施したのか、このミサイルに対する米軍の現実的な対応といった点を議論してきた。

 そこには、中国の発表は事実よりも誇張などの宣伝が多く、すべてを信用できないという背景があった。

 今、ここにきて弾道ミサイルの弾着場となっているタクラマカン砂漠に、米軍の原子力空母や駆逐艦2隻、レールの上に置かれた空母を模した建造物が造られていることが、米宇宙技術会社の衛星写真で判明した。

 中国は、過去の実験などの段階を踏まえて、近い将来、地上に造った動く米空母を目標として、ASBM射撃の実験を行うのではないだろうか。

 この動く建造物を標的とした弾道ミサイルの発射実験とその結果(動画)を見れば、中国ASBMの本当の実力が分かる。

 ASBMの実態を評価するために、以下の順序で考察する。

①衛星写真から分かること。

②何の目的のために米国軍艦に似せた実物大の建造物を製作したのか。

③これまでの情報からすれば、ASBMは10年前に完成していたのではなかったのか。

④中国が発信するASBMに関する情報、特に攻撃のイメージは印象操作が大きい。

⑤動く目標に1発で命中すれば、日米のミサイル防衛にとって重大な危機だ。