中国が米空母を攻撃できるかどうかのポイントは、米空母の位置を特定できるかにかかっているという意見が多かった。
そこで、中国は米空母を攻撃するために、その位置をリアルタイムで特定できるのか。そして、特定した位置から空母が移動する方向と速度を算出し、弾道ミサイルが着弾する時刻とを合致させられるのかについて考えてみる。
「空母の位置を特定できる」と言う研究者もいれば、「できない」と言う研究者もいる。実際はどうなのか。
今回、「情報収集能力の実態」、特に「エリント(電子情報)解析」という視点で、考察してみたい。
エリント偵察衛星で米空母を捕捉し、ミサイルを発射するイメージ
中国が米国と同じ、3つ組(トリプレット)エリント衛星からなる広域海上監視システム(Naval Ocean Surveillance System ; NOSS)を保有し、このシステムで軍艦が装備するレーダー波を3つのエリント衛星が受信すれば、空母を発見し、その位置を特定し、未来位置も予測ができるのだろうか。
中国3つ組(トリプレット)エリント衛星
空母のレーダー波を受信してから位置を特定するためには、その信号を解析する能力が必要になる。
この解析技術と能力が、位置決定のための最大の難関である。中国に、その信号を解析する機械的な技術と分析員の解析能力があるのだろうか。
今回は、中国偵察衛星の海洋監視能力について、次の順に考察する。
①画像・レーダー偵察衛星とエリント偵察衛星の違い
②米軍と中国軍の海洋監視システムの違い
③中国がエリント衛星を3つの高度に配置する狙い
④画像・レーダー衛星とエリント衛星との連携の困難性
⑤海軍軍艦のエリント信号を解析し、位置を特定する順序(推測)
⑥中国偵察衛星の海洋監視能力:まとめ