昨今、発達障害が話題となっているのは、「普通」の枠に全員が押しこまれることのひずみの表れのように思う。個性、多様性を認めよう、という声が高まっているのもそのためだろう。しかし、「普通シンドローム」が弱まったとはどうも思えない。

起業意欲を刺激して脱「普通」を

 どうしたら「普通シンドローム」から抜け出せるのだろうか。

「普通シンドローム」が強烈である以上、起業家が生まれる確率は低くなる。冒険しようとする人の絶対数が少ないのだから。働く≒就職、では、起業家精神を持てと言っても無理がある。どうしたら「普通シンドローム」を脱して、起業家精神のさかんな国になるだろうか。

 大店法を復活させるのも一つの手かもしれない。小規模店舗が生き残りやすい環境を整えて、大企業への「就職」以外にも、自営業という働き方が現実的になるようにするのが一つ。

 もちろん、今の経済活動はインターネットが中心的となっている。アマゾンや楽天などのプラットフォーマーに規制を加え、魅力的な小規模店舗を育成し、共存共栄を図れるような環境づくりをすることも重要だろう。「大企業に就職する」以外の道、すなわち起業したり自営業を営むという働き方を選べる環境を整えれば、「目をつけられまい」とする普通シンドロームから抜け出しやすくなるのではないか。

 多様な働き方の実現が、「普通シンドローム」から脱するヒントのように思う。