大店法廃止が街の景色を変えた

 もう一つ、「普通」化を強化した要因と私が考えているのが、2000年の大店法(大規模小売店舗法)の廃止だ。それまでは大店法が大型スーパーの展開を抑えていた。そのおかげで、商店街の小規模店舗はある程度生き残っていた。

『3年B組金八先生』や『ハイスクール!奇面組』(『3年奇面組』の続編、1982~1987年)でも、町工場で働いたり、家業の酒屋を継いだりするシーンが描かれている。中小自営業という働き方が残っていた時代だった。「就職」と同じくらい、「家業を継ぐ」のはごく普通のことだった。

 ところが、大店法が廃止されると、大型スーパーやホームセンターが全国の郊外に立ち並んだ。人並みが途切れた商店街は、次々とシャッター街に変化していった。モータリゼーションもあいまって、歩いて買い物しなければならない商店街よりも、品ぞろえもよく車でアクセスできる大型店舗が消費者に選ばれたからだ。

 実際に、小さな店を自分で切り盛りする自営業は、1985年の850万人から2015年の510万人に大きく減少している。

(参考)情報労連レポート「日本の自営業の動向 若年層は独立よりも正社員志向」(2020)
http://ictj-report.joho.or.jp/2004/sp04.html#:~:text=%E8%87%AA%E5%96%B6%E6%A5%AD%E3%81%A7%E5%83%8D%E3%81%8F%E4%BA%BA,%E3%81%9F%E3%81%8C%E3%80%81%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BE%8C%E3%81%AF%E6%B8%9B%E5%B0%91%E3%80%82&text=%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%95%B0%E3%81%AF%E7%B4%84580,(2015%E5%B9%B4)%E3%81%AB%E6%B8%9B%E5%B0%91%E3%80%82