すごいところ その4「早い」
「ウィズコロナ」とやらにうんざりさせられた人々に、ワクチンの到着は待たせ過ぎに感じられるかもしれませんが、しかしmRNAワクチンの開発はとんでもない早さでした。
2019年12月31日、中国武漢で肺炎患者が44人発生したことが報告され、2020年1月5日にはWHOが未知の感染症について警告を発しました。これが新型コロナ肺炎COVID-19の始まりでした。
2020年1月11日、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の遺伝子配列が読み取られて発表されました。(これも記録的な早さです。)
そしてモデルナ社がmRNAワクチンの候補数種類を設計したのはそのたった2日後、1月13日です(別の報道によると6週後)。設計されたワクチン候補の中にはmRNA-1273が含まれていました。
このように手早く新ワクチンが設計できたのは、モデルナ社の研究グループが旧型コロナウイルスに対するワクチンの設計をすでに済ませていて、新型ウイルスの発生に備えていたからです。新型ウイルスのスパイクの配列を埋め込めば設計図が完成するように準備されていたのです。
そもそもmRNAワクチンが可能になるまでには、長年の研究と、いくつものノーベル賞級成果が必要でした。
例えば、上に示したBNT162b2の配列に、「Ψ」という奇妙な文字が使われていることにお気づきでしょうか。
天然の生命の使うmRNAは、「アデニンA」「ウラシルU」「シトシンC」「グアニンG」という4種類の塩基からなります。