「ふるさと納税」のその先へ

 コロナによって私たちの生活のスタイルは大きく変わり始めています。コロナを「中国ウイルス」と名指しするトランプ大統領の言動からも明らかですが、米中対立など、国際社会は不安定さを増すでしょう。また少子高齢化の進展で、働き手の絶対数がどんどん減少していくのが確実な中で、わが国の働き方や社会の仕組みをこれまで以上に効率的にすることが求められています。

 こういう見通しに立てば、これから日本が目指すべき国家像は、政府はスリムだけど対外的にきちんとした方向を示せる強靭な「小強国家」になると私は考えています。菅首相にもぜひ「小強国家」を目指して欲しいと思うのです。

 このスリムで強靭な小強国家についてもう少し説明しましょう。

 ひとつには、中央の政府をできるだけスリム化して、どんどん地域に権限と税源を移譲するということです。私はこれを、「令和の逆維新」と呼んでいます。日本は明治維新で高度な中央集権国家を作りました。その中央集権はあまりに過度になり、弊害が多くなっています。またリモートワークが当たり前となった令和の時代には、中央集権ではなく地方分権の国家作りが必要になっています。この中央集権化とは逆のベクトルの改革を「令和の逆維新」と呼んでいるのです。

 実は、菅さんはすでに地方分権に向けた流れを強力に推進してきています。菅さんは「ふるさと納税」の強力な発案・推進者です。ふるさと納税とは、まさに税源を実質的に都会から地域に移していく政策に他なりません。国民にも非常にアピールしやすく、アイデア商品的政策と言えるでしょう。

 首相となってからも、その方向で、いやそれを超えるような、地方への本格的な権限移譲を実施してもらいたいと思います。単にお金を地方に回すということにとどまらず、究極的には、中央の人材がどんどん地域に移住したり、あるいはもともと地域にいる人材がみな都会に行ってしまうようなことがなく、地元で活躍したりできるような国家像を考えてほしい。それがスリム化の一つのカギになります。