共同訓練に参加した韓国の強襲揚陸艦「独島」に敬礼して敬意を示す米海軍の兵士(2015年10月23日、米海軍のサイトより)

 韓国国防部が今年の8月に公表した国防中期計画(2021~2025年)によれば、韓国は、今後5年間で約27兆円を軍備に投じる。

 海軍では、3万トン級の小型空母、4000トン級原子力潜水艦、新たなイージス艦3隻および国産小型イージス艦6隻を海軍に追加するという壮大な計画である。

 保有している2隻の独島級強襲揚陸艦を改修すれば、3個空母群を編成できるとする見方もある。

 韓国軍のうち、特に海上兵力の増強が著しい。これらは、北の南侵を阻止するための防勢兵器というより攻勢的で外洋で作戦する兵器である。

 高価であり、軍事目的に使用される兵器が持つ能力は、その国家の軍事的な意志を明確に表わすものだ。

 近い将来に、高価で、南侵阻止ではない作戦に使用される兵器を持つということは、隣国の日本としても警戒する必要がある。

「韓国が何のために攻勢的な兵器を装備しようとするのか、主敵を変更し、新たな軍事戦略を構築しているのではないか」といった大きな疑問が生じていきている。

 では、実際はどうなのか。その現状・能力・脅威認識・軍事戦略について分析し評価する。

購入する兵器で軍事戦略が読める

 その国の軍事力の現状およびその整備の方向性を分析すれば、その国の軍事的な意志、具体的には、どのような脅威認識を持っているのか、どの国を主敵としているのか、数か国(多正面)対応なのかなどを読み取ることができる。

 特に、保有する兵器によって、戦い方が大きく変化する。

 従って、保有する兵器の能力と運用を考察すると、主敵となる国、軍事戦略の変化が具体的に分かる。

 防勢的な兵器から攻勢的な兵器へ、地上戦主体から海上戦重視へ、短距離攻撃能力から長距離攻撃能力の保持へ、沿岸防衛力から外洋作戦力の保持に変更が見られた場合には、それに注目し、「なぜか」と疑問を持って、その理由を解明しなければならない。