軍事力の整備にあたっては、一般的に、仮想敵国を想定するものではないとしつつも、具体的脅威に対し備えるのが常識である。

 韓国軍が北朝鮮を想定し、「三軸体系」として「キルチェーン」、「韓国型ミサイル防衛」および「大量反撃報復」能力を整備してきたのは、その観点から説得力を持つものであった。

 韓国の保有する弾道ミサイルの射程が、韓米協定の改定に伴い800キロとされ、西日本が射程内となったが、日本でそのことを危惧する意見も皆無であった。

 しかしながら、米韓同盟の見直しが進み、韓国の安全保障戦略が北朝鮮一辺倒から多極化する過程で、韓国が日本の脅威を強調し、対北戦略として全く不要な小型空母や原子力潜水艦の建造を進めることは、「日本を主敵とした軍事戦略である」と見るのが妥当であろう。

韓国空母機動部隊の能力と狙い

 韓国中央日報によれば、「韓国空母機動部隊は、小型空母、イージス艦2~3隻、小型国産ミニイージス艦2~3隻および原子力潜水艦で構成される」という。

 空母機動部隊の能力は、満載排水量4万5570トンの米強襲揚陸艦(LHA)が「F-35B」を16~20機程度搭載可能であることから、韓国小型空母のF-35B搭載機数は同程度と考えられる。

 カタパルトやスキージャンプ台を装備しない空母の航空機運用能力は低く、同時運用能力は搭載機数の3分の1程度の5~6機とみられる。

 空母防空用のCAP(Combat Air Patrol)所要を考慮すると、対地攻撃や対艦攻撃に充当できるF-35Bは数機になる。

 つまり、韓国の小型空母は攻撃力がきわめて限定的なのである。

 随伴する原子力潜水艦やイージス駆逐艦は、巡航ミサイルによる対地、対艦攻撃能力を保有し、空母の護衛が主任務となる。

 しかし、艦載の早期警戒機を保有しておらず、敵戦闘機情報の入手に欠け、防空能力は限定的である。

 また、随伴駆逐艦、潜水艦および搭載ヘリコプターによる対潜能力を保有する。

 しかしながら、対潜戦の特性上、攻撃を企図する潜水艦を完全に排除することは困難と考えられる。

 韓国空母機動部隊は、北朝鮮のほか、竹島または離於島(イオド)領有権問題対処、さらには将来的にはインド洋までの海上交通線防御を視野に入れているとされている。