主敵意識は北朝鮮から日本へ

 文在寅政権発足後、「今の青瓦台が中・長期戦略に基づいて、安全保障政策を推進しているのか疑わしい」との意見をよく聞く。

 しかしながら、中・長期戦略に基づき外交・安全保障政策を推進していないのは文在寅政権だけではない。

 韓国政治は国民感情をあおって政権につき、その国民感情に引きずられ身動きが取れなくなるという傾向がある。

 国防白書における北朝鮮に対する脅威認識も政権によって大きく変化する。

 1990年代までは北朝鮮は「主敵」と表現されていた。金大中政権以後、革新政権では敵という言葉が削除され、保守政権では復活するという状況が継続している。

 文在寅政権が初めて示した2018国防白書では、前回、朴槿恵政権下の2016年版にあった「北韓の政権と軍は我々の敵である」という記述が削除された。

 それに代わって、「主権と領土、国民、財産を威嚇して侵害する勢力を敵と見なす」とする記述が新たに盛り込まれた。

 6隻の国産小型イージス艦の建造に関し、韓国の報道に極めて興味深いものがあった。

 その内容は、「海軍は北朝鮮の脅威だけでなく、中国の北海艦隊、東海艦隊、日本の海上自衛隊の2個護衛艦隊(機動艦隊)による脅威も考慮し、適切に対処できる戦力の整備を進めている」(注:同記事は削除され現在では確認できない)というものであった。

 日韓関係を見た場合、国際観艦式における旭日旗掲揚問題や哨戒機に対する射撃管制レーダー照射問題など、外交関係以上に防衛関係者の相互信頼が低下している。

 竹島領有権に関し対立している日本が「敵」とみなされるのは当然であろう。