中国は天安門事件後に、改革開放政策と同時に軍の近代化も進めた。とりわけ最近の中国空軍力の近代化の速度と数的増強は目を見張るものがある。
かつて、中国空軍は、主に1960~70年代に製造された旧ソ連戦闘機の機種をコピーし、世界で最も多い4000機超を保有していた。
その後、旧式機を削減して、2010年頃には約1500機、現在では増加した新型機と旧式機を併せて約2000機を保有している。
この機数は、2700機を保有する米軍に次ぎ、ロシア軍の約1000機よりも多い(米露の保有機は、すべて新型機である)。
特に、脅威になるのは、日本に指向できる兵力・兵器であり、互角以上に戦えるものである。
保有する兵器の数量が多くても日本への攻撃に投入できない兵器や兵器が旧式であり互角に戦えないものは該当しない。
ここでは、中国空軍戦闘機の近代化と増強の実態、そこからどのような作戦が可能となってきたのか、また、わが国防衛への具体的かつ真実の脅威について分析する。
特に、日本に対する中国空軍戦闘機の脅威に限定して、比較分析する。
1.近代化した戦闘機数は日本の4倍
1990年代初期の中国空軍軍用機は、ロシアから導入した旧式機か、あるいはそのコピーが主体であった。
次第に、ロシアの先端戦闘機(輸出用)をそのまま導入し、組み立てを自国で行い、その後、それらの技術を取り入れて、自国で新たな戦闘機を生産する道を辿りつつある。
1990年代初期には、中国軍の主力戦闘機は総数約4200機で、当時の航空自衛隊戦闘機数は、約360機であった。中国軍機が空自機の約12倍であった。
だが、実態をよく見ると、「J-5(MiG-17)」、「J-6(MiG-19)」、「J-7(MiG-21)」、「J-8」の第1~3世代(旧式機)のものが約4100であり全体の99.4%であった。
当時は、旧式のポンコツ兵器ばかりだったのだ。
空自と中国軍戦闘機数の推移
中国空軍保有機数のうち新型・旧式戦闘機数の内訳と変化