南シナ海で弾道ミサイル発射訓練を行う中国海軍の兵士(2020年5月29日、China Militaryより)

 かつて、中国潜水艦は、旧ソ連から輸入されたものが大半であり、数は多いものの、能力は低く、活動海域や活動日数も限定的であった。

 しかしながら、1994年にロシアからキロ級潜水艦を導入したことを皮切りに、大々的な近代化を進め、活動も活発化しつつある。

 2019年度の中国軍に関する米国防省報告書によれば、中国海軍は潜水艦の近代化に高い優先順位を与えている。

 現在4隻の弾道ミサイル原子力潜水艦、6隻の攻撃型原子力潜水艦、そして50隻の通常動力型潜水艦を保有している。

 これらの潜水艦は、対艦巡航ミサイルを搭載し、高い攻撃能力がある。

 さらに、最新型の元(ユアン)級は、先進的な非大気依存動力(AIP: Air Independent Propulsion)を搭載し、長期間の潜行が可能である。その数は、2020年までに20隻となると見積もられている。

 防衛省は、監視を通じて得られた日本周辺海域において活動する中国、ロシアなどの海軍艦艇、航空機の活動状況を公表している。

 公表された中で、潜水艦はごく少数であるが、氷山の一角とみられる。多くの中国潜水艦が我が国周辺の海域で活動しているのは間違いない。

 今回、数少ない公表された中国潜水艦と推定される国籍不明潜水艦(以後、中国潜水艦等)の活動状況を基に、その「意図」と「能力」について、考察する。