2 日本領海に近づく中国潜水艦の意図

 1990年代以降中国潜水艦の活動海域は、従来の沿岸地域から、西太平洋に拡大している。

 その背景には、接近阻止/ 領域拒否(A2/AD:Anti-Accesses, Aria-Denial)兵力として、第1列島線と第2列島線の間で米軍兵力を阻止する役割が与えられたためと見積もられる。

「明」級や「宋」級といった旧式潜水艦は沿岸地域を、新型の「商」級原子力潜水艦や「元」級AIP潜水艦は第1列島線外といった役割分担をしている。

 北海艦隊(司令部青島)および東海艦隊(司令部寧波)に所属する潜水艦が、西太平洋に進出するためには南西諸島の線を越える必要がある。

 国連海洋法条約第20条の規定に基づき、潜水船その他の水中航行機器は、領海においては海面上を航行し、かつその旗を掲げなければならない。

 南西諸島の海峡などで潜水艦が潜航して航行できる公海部分が含まれているのは3か所(沖縄・宮古島間、奄美大島・横当島間および大隅海峡)のみである。

 沖縄・宮古島間は約150海里あり、最も広いことから、潜水艦のみならず水上艦艇の主要航行海域となっている。

 今回奄美大島周辺で確認された潜水艦が太平洋に進出した際、どこを通過したかは不明であるが、帰投時に奄美大島周辺を航行したのは、沖縄・宮古島間が通過できない情勢となることを想定し、他の海域でも活動するための習熟訓練を意図していた可能性がある。

 特に注目されるのは前掲活動状況の①、②および④である。

 いずれも他に航行できる海域があるにもかかわらず、わざわざ接続水域を航行している。接続水域は、領海から12海里の海域であり、公海の一部ではあるが、衛生や関税といった分野で沿岸国の一部権利が認められる。