かつての大日本帝国のように、自滅への道を歩み始めたように見える習近平・国家主席と中国共産党(写真:新華社/アフロ)

(岩田 太郎:在米ジャーナリスト)

※「中国切腹日本介錯論」はこちらをご覧ください。

日本の敗戦をピタリと予測した石原莞爾

「大ばくち もとも子もなく すってんてん」

 国力をはるかに超えた無謀な戦争を米英蘭支に仕掛け、明治以来、獲得したすべての海外領土・占領地を失ったばかりか、数百万の国民を死なせ、灰燼(かいじん)に帰した皇土が敵国の欲するままに支配され、自立や独立さえ失う運命となった敗戦国日本。その喜劇的でさえある愚かさを詠んだ、満洲映画協会理事長の甘粕正彦の辞世の句である。

 この句が満洲国の首都新京で詠まれた昭和20年(1945年)8月20日を遡ること数年前、大東亜戦争が華々しく幕を開ける以前から、こうした結末を繰り返し、ピタリと言い当てていた陸軍の戦略家がいた。日本の敗戦とともに消滅した満洲国の建国の青写真を描いた石原莞爾その人である。彼は次のように予言してはばからなかった。

「支那亊變をこのままにして、さらに手を壙げて(ひろげて)新たな戰爭を始めたら必ず國を滅ぼす」

「日本はこれから大變なことになります。まるで糸の切れた風船玉のやうに、風の吹くまゝにフワリフワリ動いて居ります。國に確り(しっかり)した方針といふものがありません。今に大きな失敗を仕出かして中國から、台灣から、朝鮮から、世界中から日本人が此の狹い本土に引揚げなければならない樣な運命になります」

「殘念ながらもう日本も駄目だ。朝鮮、樺太、台灣など皆捨てて一日も早く明治維新前の本土にかへり、ここを必死に守つたなら何とかならぬこともあるまいが、今の儘(まま)では絶對に勝利の見込はない」

日本の敗戦をピタリと予言していた大日本帝国陸軍の戦略家、石原莞爾(写真:近現代PL/アフロ)