中国切腹日本介錯のいつか来た道

 よく知られていることだが、中国共産党は日本の戦略上の過ちを徹底的に研究し、教訓をしっかりと学んでいる。また、日本を屈服させた米国の軍事力や金融制裁・経済封鎖の総合的な破壊力も知り尽くしている。だからこそ、戦前の日本のような国際的な孤立を避けるべく米国主導の戦後国際秩序に従うふりを続け、主敵たる米国を国力の上で凌駕できるまでは爪を隠すという「韜光養晦」を実践してきたのだ。

 それは大成功を収め、世界は中国への警戒を解き、中国は世界第二位の経済大国に上り詰めることができた。だが、あまりの成功に中国共産党は慢心し、海外資源を手に入れるため途上国向けの借金漬け外交を展開し、米国を圧倒できる力を得る前に、東シナ海や南シナ海、香港などにおける攻撃的な行動に出て、世界から「中国は危険だ」と認識されるようになってしまった。おまけに、中国国内の価値観を外国に押し付ける場面も目立ち、反感を買っている。

 一方、香港や東トルキスタン(新疆)、チベットなどの外地における支配不徹底、国内の経済矛盾やそれに連動する中国共産党の正統性問題などが重なり、それらを「解決」するための攻撃的かつ強権的な体質が隠せなくなってきた。国益よりも、中国共産党の組織を守る選択を続けて、政治と戦略が合致しなくなってきたのである。

 恐らく、多くの漢人知識層や中国共産党の政策立案者は、この矛盾に早くから気付き、是正が必要だと感じている。しかし、文化大革命時代の毛沢東の独裁的指導スタイルに回帰しようとする習近平氏を批判することができないため、党中央の「中国切腹」への歩みを止められないでいるのだ。戦前の日本での石原莞爾の軍部暴走批判や、総理大臣直属の機関として設立された「模擬内閣」の総力戦研究所が昭和16年(1941年)8月に導き出した「日本必敗」予測が無視されたように。

 現在のところ、習近平氏は従来からの国際協調の発展やグローバル化の推進を口では唱えているが、その手はアジア各地で着々と戦争準備を行っており、領土的な野心は隠せないものとなっている。そして、限定的な局地戦の意図をもって開始した台湾や尖閣諸島に対する侵略は想定外の反撃を招き、やがて日本を含むアジア太平洋地域全体を巻き込む第三次世界大戦に拡大するリスクをはらむ。