自滅する中国を介錯するのは日本か

「中国夢」のコンセプトを発明した中共の石原莞爾こと劉明福・元国防大学教授は、「米中戦争は、中国が西太平洋を支配する『中国夢』を実現できれば回避できる」とするが、現在の米国のアジア関与の低下は、必ずしもアジア撤退を意味しない。ミシェル・フロノイ元米国防次官が6月18日付の米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』電子版で指摘したように、「米国の抑止力低下で、中国が誤算するリスクが高まる」のみなのだ。

 習近平氏にとり最悪のシナリオは、アジアや西太平洋地域へは不介入を貫くと思われた内向きの米国が積極的に対中戦や同盟国支援を遂行し、中国にとっての理想である短期即決の電光的決戦が泥沼化・長期化をしてしまうことだ。日本が、「真珠湾を叩けば米国が戦意を喪失する」と誤算したように、中国が「最新兵器で日本や米国を効果的に叩けば戦意がなくなる」とそろばんをはじいても、実際には徹底抗戦を招く恐れがある。

 その状況をコントロールしようと中国人民解放軍が地政学的な版図を拡大するほど、ロシアやインド、さらには遠く欧州の警戒を高め、日米露印欧が対中包囲網を築くことを助けてしまう。

 その中国切腹を、「中露離間」「中印離間」「中欧離間」の外交や情報戦推進で介錯するのが、日本になる可能性がある。国際社会を味方にして対中戦に引きずり込む「以夷制夷」戦略である。中国の国策が「中国夢」に象徴される領土拡張である限り、それは歴史的な必然となる。

 好戦的な日本人が敗戦で内地に戻されたように、世界を敵に回した好戦的な漢人も思わぬ敗戦で「中原」に戻され、チベットも蒙古も満洲も東トルキスタンも失うだろう。

 中国共産党の大ばくちは、「中華人民共和国」建国100周年の2049年までに、「元も子もなくすってんてん」になって終わる。「中国切腹日本介錯」は、実現すれば歴史の究極の皮肉となろう。

 この先数回にわたり、中国切腹日本介錯において、

「なぜ中国は韜光養晦の完了前に先制攻撃をする可能性が高いのか」

「中国が緒戦で大勝利を収める理由」

「中国はどのような具体的方法で国際秩序を改変しようとするか」

「なぜ中国は海外帝国建設に失敗するか」

「中国切腹日本介錯で生まれる国際新秩序で日本がどのように生まれ変わるか」

を詳細に論じていきたい。(続く)