このような中で、米韓の脅威認識のずれが顕在化しつつある。その一つが北朝鮮であり、もう一つは中国である。

 文在寅政権は南北融和を推進、2018年4月の板門店宣言およびこれに引き続き南北軍事合意を締結した。

 軍事合意では大規模演習について南北で協議するとしており、大規模な米韓合同軍事演習は2年間以上行われていない。

 さらに在韓米軍駐留経費増額交渉の行き詰まりから、米国のドナルド・トランプ大統領が在韓米軍を削減するのではないかとの噂も広がりつつある。

 北朝鮮に対する抑止力としての米韓連合軍の弱体化が進んでいる。

 中国問題はさらに深刻である。

 2015年に当時の朴槿恵大統領は、米英などの指導者級が参加しないなか、中国主催の「抗日戦勝70周年」式典にロシアのウラジーミル・プーチン大統領とともに出席した。

 また、2017年10月には文在寅大統領訪中の事前交渉において、次の「3つのノー」と言われる中韓合意文書を公表している。

●米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。

●日米韓安保協力を軍事同盟に発展させない。

●THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の追加配備は検討しない。

 この3つは、自国の防衛力や米韓の同盟関係を弱め、中国におもねる内容になっている。

 北朝鮮および中国に対する脅威認識の差は、米韓連合軍の運用に大きな影響を及ぼす。

 米中対立が激化しつつある状況下において、在韓米軍の韓国以外における活動に協力しないどころか、在韓米軍の活動に何らかの制約を加えるようなことがあった場合、米韓対立は深刻化し、最終的には同盟の解消にまで及びかねない。