このような見解に耳を傾けることによって、私は、行動計画の柔軟な適用をすることができた。もし、この私的諮問機関がなければ、病院はパンクして、重症者のケアができなくなっていただろう。様々な意見を取り入れることがいかに重要かということである。
そこで、今回、岩田の動画を見て、これは広く国民に知らせる必要があると思い、19日朝に自分のSNSで拡散したのである。その結果、マスコミや国会でも広く取り上げられたが、20日には岩田自らが動画を削除してしまった。本人は、動画が十分に役割を果たしたので、削除したということであるが、医学界、厚労省、政界などのエスタブリッシュメントからの圧力を感じたのではあるまいか。
岩田が言うように、政策決定過程が明確でないこと、指揮命令系統も不明なことが問題である。また、感染ゾーンと非感染ゾーンとの区別が明白ではなく、船内感染者に関する情報も開示されていなかった。岩田の批判を受けて、この点についての情報は開示されたが、役所の情報隠匿体質は相変わらずである。
遅きに失した専門家会議の立ち上げ
そして、専門家会議の立ち上げが遅れたことは致命的である。
2009年前の新型インフルエンザのときは、4月24日に北米で発生してから4日後の28日には、政府は対策本部を立ち上げ、5月1日には専門家諮問委員会を設置した。
ところが、今回は、昨年12月8日に武漢で初の症例が報告され、1月16日には日本で初の感染者が出たにもかかわらず、対策本部の初会合は1月31日である。
そして、専門家会議が設置されたのは2月14日であり、その初会合は16日である。国内初感染から1カ月も浪費している。2月13日に、神奈川県の80代の女性が死亡、つまり国内で初の死者が出たので、慌てふためいて専門家を召集したような感じである。