(舛添 要一:国際政治学者)
新型肺炎は猛威を振るい続けている。2月14日12時現在で、中国国内の死者1380(+121)人、感染者6万3851(+5090)人となっている。感染者数が急増したのは、簡易臨床診断の結果も含むように変更したからである。
中国国外では、27の国と地域で、570人が感染している。
中国以外で最大の感染者を出しているのは、横浜沖に停泊中のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号である。14日17時30分現在で、218人もの乗客と乗務員が感染している。この船に乗り込んだ検疫官1人も感染した。
日本では、これら以外にチャーター機で武漢から帰国した人たちの中から12人、それ以外の観光客ら23人が感染している。全体で254人である。
200人もの乗客や乗務員が感染するクルーズ船を揶揄して、海外メデイアは「浮かぶ微生物培養シャーレ(ペトリ皿)」と評して批判している。まだ3500人が船内に残っているが、厚労省は、80歳以上の高齢者で持病のある人などは、14日以降、下船できるようにした。感染拡大と乗客の健康維持という二つの目的を最初から掲げておれば、ここまで対応が遅れることはなかったであろう。
戦力の逐次投入ではウイルスとの戦いに勝てない
2009年に新型インフルエンザが発生したときに、私は厚労大臣として対応に当たったが、そのときに苦労した経験が、今回の事態に活用されていない。そのときの首相は、今の麻生財務相兼副首相であるが、10年前のことは忘却の彼方ということなのかもしれない。安倍首相は、腹痛で辞職し、政治の表舞台からは退いていた。