衆院在職50年を迎えた小沢一郎氏(写真:AP/アフロ)

 国民民主党の小沢一郎(77)が衆院在職50年を迎えた。尾崎行雄、三木武夫、原健三郎、中曽根康弘、桜内義雄(衆参通算で51年半)に次いで憲政史上6人目となる。小沢は1969(昭和44)年12月27日の衆院選で初当選し、現在まで17回連続当選を誇る。小沢はいまも野党随一の実力者であり、その〝現役感〟は半端ではない。

 一方でそのキャリアは極めて特徴的だ。一貫して党のポストに就いてきたため、党首経験は通算17年8カ月に及ぶものの、意外にも閣僚経験は自治相の1回だけ、その期間もわずか7カ月余である。官房副長官として首相官邸を経験しているが、これも1年半に過ぎない。

 にもかからず、首相を凌駕する絶大な権力を握り続け、自民党を2度にわたって下野させた。昭和末期から平成後期に至るまで、日本政治の中心は常に小沢だった。

 小沢はいかにしてその政治力を高めていったのだろうか?

 27歳で政界デビューした二世議員とはいえ、出世が最初から約束されていたわけではない。むしろ、若いころはかなり地味である。目立たぬ若手政治家の一人にすぎなかった小沢は、どのようにして権力の階段を駆け上がっていったのか。自民で23年半、非自民で26年半過ごした議員生活を「出世とキャリア」の観点から振り返る。(敬称略、出典は逐次明記)

二世議員

 小沢は、吉田茂内閣で郵政相や建設相、池田内閣で行政管理庁長官を務めた父・佐重喜(さえき)の長男として1942年5月24日に生まれた。中学2年まで岩手県水沢市(現・奥州市)で過ごし、中学3年時に父親が居住する東京都文京区に引っ越した。都立の有力校・小石川高校へ進学し、東大を志したが願いはかなわず、2浪の末、慶応大学経済学部に入った。67年4月から日本大学大学院に進学し、司法試験を目指して勉強をしていた。