『90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論』(五百旗頭真ら編、朝日新聞社)で、小沢は国会質問についてこう答えている。

――小沢さんは、国会の委員会での質問などはあまり好きじゃないんですか。

小沢 嫌いですね。僕は国会で余り質問をしたことがない。35年間の議員生活で質問は合計でも30分くらいしかしたことがない。質問をしても、答弁に立つ役人の話を聞くだけだから、何の意味もない。意味のないことはやりたくない。

 小沢は国会質問ではなく、先輩や実力者たちと過ごすことを優先した。常に小沢は「誘われたら断らない」姿勢でかわいがられていく。師匠である田中とは将棋を指し、姻戚関係を結ぶ竹下登、後ろ盾となる金丸信のマージャンにも最後まで付き合った。会合や宴席の幹事役はいつも小沢が引き受けた。朴訥で口数が少なく、万事控えめだが、酒は飲めるし、付き合いがいい。古い日本社会で出世する条件を備えていた。