「煮物は冷めるときに味がしみる」のはなぜか

味付けの基本「さしすせそ」には科学的な理由があった

2019.11.01(Fri)佐藤 成美
煮物。里芋や大根に、だしがしみ込む。

 秋が深まり、温かい煮物が恋しい季節になってきた。とりわけ、だしのきいた煮汁がしみ込んだ煮物はおいしい。この煮物に欠かせない「味がしみ込む」とは、どんな現象なのだろう。科学の視点で探ってみた。

煮物は「水の利点」を生かした料理

 煮物は食卓によく並ぶ定番のおかずだ。今の季節なら、里芋や蓮根などの根野菜の煮物がおいしい。寒くなると、風呂吹き大根やおでんも食べたくなってくる。味がよくしみた煮物はご飯にもぴったりだ。

 とはいえ、煮物は家庭料理の定番でありながら、味がしみ込まなかったり、形が崩れてしまったりと、うまく作るのは意外と難しい。

 煮物とは、だしに酒やしょうゆ、みりん、砂糖、塩などを加えた汁の中で、野菜や肉、魚などの食材を煮込む料理だ。食材は煮汁の中でやわらかくなり、うまみたっぷりの煮汁をしみ込ませる。口に入れれば、煮汁のうまみと食材の味が一体となった風味が口の中で広がる。

 加熱調理には「焼く」以外にも「ゆでる」「煮る」「蒸す」など、いろいろな方法がある。「ゆでる」「煮る」「蒸す」は水を媒体にして、食材に熱を伝える方法だ。多めの水で加熱することを「ゆでる」、味も染み込ませることを「煮る」、また水蒸気で加熱することを「蒸す」という。

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