
日本人の魚介類消費量は減少しており、魚離れが深刻である。一方、海外の消費動向に目を向けると、日本を除いて世界各国で増加傾向にある。肉食の国フランスでも、魚介類の消費量は増加しており、魚売り場もある。
フランスと日本のスーパーマーケットの魚売り場から、魚離れについて考えた。
深刻な日本人の魚離れ
日本人の魚離れがすすんでいる。
農林水産省食糧需給表によれば、日本人の1人当たり年間食用魚介類消費量(純食料)は、2001年度の40.2㎏をピークに減少傾向で、2022年度は22.0㎏と半分近くまで落ち込んでしまった。この値は調査を始めた1960年以降で最低だった。一方で、肉類の消費量は増加傾向で、2011年には消費量が魚介類を上回り、2022年度は33.5kgとなり、魚介類消費量との差が年々広がっている(図1)。
年齢階層別の魚介類摂取量でも、1999年以降ほぼすべての層で減少傾向にあった。高齢者は肉より魚を好み、若者は魚より肉を好むというイメージは覆され、年代に関係なく魚介類を食べなくなっていることが示された。
水産白書によれば、消費者は、魚介類はからだによい、おいしいという認識はあるものの、価格の高いことや調理の手間がかかること、調理法を知らないことなどが魚介類を購入しない要因に挙げられている。
海外の消費動向に目を向けると、日本を除いて世界各国で増加傾向にある。もともと魚介類を食べる習慣のあるアジア地域では、生活水準の向上にともない消費量が顕著に増加しており、1人1年当たりの食用魚介類の消費量が中国では過去50年で約10倍、インドネシアで約4倍になった(図2)。
水産庁や業界団体などは、水産物の消費拡大に向けて、イベントを行うなど取り組んでいるものの、日本だけが減少傾向にあり、魚離れは深刻だ。豊洲魚市場で働く知人の「せっかく豊富な資源があるのに、日本人が食べないのでよい魚はみな海外に行ってしまう」という言葉が印象的だった。