魚肉ソーセージと聞いて、なつかしいと思うのか、ヘルシーフードと思うのか年代によって捉え方は異なるかもしれない。それだけ、長く続く食品なのだ。久しぶりに手に取った魚肉ソーセージは、進化しており、生き残るのには理由があるのだと実感した。
目につく魚肉ソーセージ
近所のスーパーマーケットで、魚肉ソーセージが目についた。あちらこちらの売り場の角に魚肉ソーセージを陳列している。1社の製品だけではなく、各社の製品が置いてあり、この店は魚肉ソーセージの販売に力を入れているようだった。
魚肉ソーセージといえば、昭和のおやつやおかずの定番で、子供のころ、赤い包装紙に包まれた細長いソーセージをよく見かけたものだった。「久しぶりだなあ」と、なつかしくなり、4本入りの束を買い求めた。
そのあと、スーパーマーケットのみならず、ドラッグストアや100円均一ショップなどいろいろなところで魚肉ソーセージが売っていることに気が付いた。製品の減り具合から、けっこう売れているようだ。食料品店で高齢の男性が買っている姿も見かけた。いまや、姿を消しかけているなつかしの食品かと思っていたが、そうでもないようだった。
そこで、魚肉ソーセージの生産量を調べてみた。日本缶詰びん詰レトルト食品協会のデータによれば、生産量のピークは1970年代で、1972年に18万トンを超えていた。その後減少したものの、ここ20年ぐらいの生産量は5~6万トンと横ばいで安定している。
紆余曲折を経て90年
魚肉ソーセージは、魚肉のすり身に調味料やデンプン、油脂などを加えてチューブに詰めて加熱したものだ。魚肉ソーセージの歴史は古く、1935年に誕生した。開発のきっかけは、当時、高根の花だったハムやソーセージを魚肉で作ろうとしたことだった。はじめは、あまり人気がなかったようだ。