「CASE」発表から1年半、マーケ戦略は成功
日本の経済メディアでは、自動車業界の大きなトレンドを意味する「CASE(ケース)」という言葉がすっかりお馴染みとなった。Connected(通信の融合)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有化)、そしてElectric(電動化)という、3つの技術領域と1つのサービス領域の頭文字を取ったものだ。
確かに、CASEは自動車産業が直面している“100年に一度の大変革”を象徴している。だが筆者は記事を執筆する際、極力この言葉をなるべく使わないようにしている。
なぜならば、CASEは独ダイムラーが作ったマーケティング用語だからだ。
ダイムラーがこの言葉を使い始めたのは2016年9月のフランス・パリモーターショーからだ。その年の6月には、独フォルクスワーゲン(VW)グループが中期経営計画「Together - Strategy 2025」を発表している。CASEは、VWが「Together」の中で発表した「EVシフト」と連動するようなマーケティング戦略だった。
それから約1年半が経過した2018年3月上旬、スイスで開かれたジュネーブモーターショーの記者会見で、ダイムラーはCASEを強調することはなかった。この言葉はすでに世間で独り歩きし、経済メディアでは一般名詞として使われている。ダイムラーとしては、いまさら訴求する必要性を感じなかったのだろう。