小型株投資の注意点
これまで小型株投資の魅力について見てきましたが、投資の際に気を付けておきたいことがあります。それは、小型株への投資は「人気がない時」に行い、「人気化したら逃げる」という鉄則です。というのも、流動性に限りがあるため、人気化すると上がり過ぎることが多く、逆に、ひとたび人気が離散すると「強烈な需給悪化」に見舞われる可能性が高いからです。
そうした観点から現在の小型株市場全体を見ると、現在の市場環境は小型株投資にとって決して悪くない状況と言えそうです。大型株指数を小型株指数で割った「大型株/小型株レシオ」を見ると、最近の大型株人気もあって、2010年1月以降ではかなり高い水準(大型株が好調)にあるからです(図表7)。

2000年代前半から半ばにかけて、日本の株式市場では抜群のパフォーマンスを誇る小型・中小型株ファンドが投資家の注目を集め、ちょっとした「小型株投資ブーム」となった時期がありました。大手外資系証券会社の中には、競合他社から小型株アナリストを大量に引き抜き、「小型株チーム」を編成する会社まで現れました。しかし、このように小型・中小型株投資が「人気化」すると、相場としては8合目といってよいでしょう。
この小型株ブームは、その後、当時フジテレビ・ニッポン放送買収騒動で一世を風靡したライブドア社に証券取引法違反の容疑で東京地検特捜部の強制捜査が入り、いわゆる「ライブドアショック」が起こると、終了を迎えることとなりました(図表8)。

この時、市場では小型株ファンド全体から投資資金が逃げ出すことで、プロが吟味した「良い株」ほど需給悪化により売り込まれることとなりました。こうなると逃げ道はありませんので、運用担当者は泣く泣く顧客の売り発注にあわせて悲惨な水準まで下がった株を売り続けるしかありません。
こうした過去の例からもわかるように、小型株投資は流動性のリスクにどう対処するかが重要であり、小型株全般が人気化したり、個別の小型株やセクターが市場の関心を広く集めたりする局面では、その後に「悲惨なババ抜き」に巻き込まれるリスクには注意が必要でしょう。
■まとめに
▶小型株は市場参加者の多くからあまり注目されず、流動性も限られることから大型株との比較で優良な会社が割安に放置されていることが少なくないため、長期的には相対的に良好なパフォーマンスを上げる傾向があるとされています(小型株効果)。
▶株価は会社の「変化」に敏感に反応するため、会社としての「育ち盛り」の時期に差し掛かった小型株は、株価が大きく上昇するポテンシャルがあります。
▶最近は「物言う株主」として知られるアクティビストファンドが小型株への投資を積極化させているため、小型株全般の活性化や投資リターンの向上が期待できそうです。ただし、小型株は常に流動性のリスクと隣り合わせのため、市場で人気化した場合にはその反動には注意が必要でしょう。
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