主君を転々とした蜂須賀小六、豊臣兄弟と歩んだ絆

 どこまでが本当にあったことかどうかは分からない。そもそも、黒俣城の存在が疑問視されている。確かな史料に全く取り上げられていないからだ。城というよりも、せいぜい砦くらいのものだったと見られている。

 そうなると、「墨俣城伝説」の描き方は、ほぼ脚本家の腕次第といっていいだろう。面白いのは、秀長がこれだけ活躍する『武功夜話』の展開は採用せずに、ドラマでは秀吉にひたすら説得役をやらせている点だ。

 前回放送では、鵜沼城の調略にあたって秀長が大活躍したので、選手交代といったところだろうか。兄弟が入れ代わり立ち代わりで見せ場を担うのは、これまでの大河ドラマではなかった展開といえるだろう。

 実際の蜂須賀小六は、若年期には斎藤道三に仕えて、道三の死後は岩倉城主の織田信賢につき、その後は犬山城主の織田信清に仕えるなど、主君を転々とした。そして永禄3(1560)年に信長に仕えたとされている。

 蜂須賀小六は「桶狭間の戦い」で軍功を挙げると、金ケ崎の退き口で秀吉とともに活躍し、その後は、秀吉の家臣になったといわれている。

 今回の放送は、『武功夜話』のように熱い言葉を交わすことはなかった秀長と蜂須賀だが、ここから共に秀吉を支える立場となり、どんなコンビネーションをみせるのかも楽しみだ。