高市政権は野党をなめ切っていた
高市首相がこの時期の衆院解散を決めたことにはさまざまな批判があるが、最も大きい批判は「2026年度予算の年度内成立が絶望的になり、物価高に苦しむ国民生活を直撃する」ことだろう。
閣議に臨む高市首相(中央)ら=16日午前、首相官邸(写真:共同通信社)
そもそも高市政権は、当面の政権運営には全く困っていなかった。連立を組む日本維新の会に加え、野党第2党の国民民主党も「2026年度予算の年度内成立への協力」で自民党と合意したからだ。年末の政界は「これで予算成立までは衆院解散はない」という見方が支配的になっていた。
ところが1月9日、読売新聞が突然「冒頭解散」を報じた。せっかく確実視されていた「予算の年度内成立」さえご破算にする無茶苦茶な解散戦略に、野党のみならず自民党内にも「何のための解散なのか」と戸惑いが広がった。
解散戦略を練ったのは、安倍政権時代の総理秘書官だった今井尚哉内閣官房参与ら、官邸内の限られたメンバーだったとされる。思えば、彼らが仕えた安倍晋三元首相も、野党の選挙準備が整わないうちに、多額の税金を使って小刻みに「自己都合解散」を打つことで「安倍1強」の状況を作ってきた。解散に踏み切る心理は、確かに当時とよく似ている。
しかし、今回の解散を考える時、高市首相は野党、即ち立憲民主党や公明党のことなど、ほとんど意識していなかっただろう。彼らは現在の野党の党勢が「低迷している」となめ切っている。自民党の圧勝は、彼らにとって自明のことだったはずだ。
ならば彼らは、解散によって何を得たいのか。それは「圧勝することで、他の中小野党の機嫌を取らなければ政権運営できない、うっとうしい状況を解消する」ことだったのだと思う。