ドラマでは同父説をとった「父子の物語」にも注目

 最後に父についてだが、従来は秀吉の父は、なかが最初に結婚した木下弥右衛門(きのした やえもん)とされており、弟の秀長や妹の朝日は、なかが再婚した筑阿弥が父だと見られてきた。

 だが、木下弥右衛門と筑阿弥が同一人物であるという説もあり、とも、秀吉、秀長、朝日はすべて、同父の兄弟姉妹である可能性も高まっている。

 今回の放送では、父の墓参りのシーンがあった。拝む秀長の前に墓石が2つ並べてあることから、従来説かと思いきや、一つはなんと秀吉のもの。秀吉が「勝手に殺すな!」と、兄弟での戦闘シーンが始まることになるが、このドラマでは同父説をとっていることが分かる。

 これまでなかの最初の夫とされた木下弥右衛門、そして再婚相手とされてきた筑阿弥はともに織田家に仕えていたという。今回の放送では「侍になんぞなったら、どのみちすぐに死ぬわ! 親父もそうじゃったじゃろ? 手柄を立てようと戦に行ってケガして、それがもとで死んだ」という秀長のセリフもあった。父の死にまつわる背景も生かされたストーリー展開となりそうだ。

 次回の放送は「願いの鐘」。尾張統一を目指す信長が岩倉城攻めを決行する。秀吉は清須に残ることになったが、信長の妹・市(宮﨑あおい)から呼び出しを受けることに。一方の秀長は、幼なじみ・直の縁談が決まったことを知る。

【参考文献】
『多聞院日記索引』(杉山博編、角川書店)
『史料大成多聞院日記〈全5巻〉』(竹内理三編、臨川書店)
『現代語訳 信長公記』(太田牛一著、中川太古訳、新人物文庫)
『図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石』(河内将芳著、戎光祥出版)
『豊臣秀長 シリーズ・織豊大名の研究』(柴裕之編、戎光祥出版)
『豊臣秀長のすべて』(新人物往来社編、新人物往来社)
『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』(真山知幸著、日本能率協会マネジメントセンター)