西周
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(町田 明広:歴史学者)

 JBpressでの連載も、いよいよ6年目に突入となった。長期連載となったのは、読者の皆さまからの変わらぬご支持の賜である。心からの感謝を申し上げたい。

 さて、令和8年(2026)がスタートした。昨年の「幕末維新史探訪2025」に引き続き、今回からは「幕末維新史探訪2026」がスタートする。本年も、どうかよろしくお願いいたします。

近代日本の礎を築いた哲学者・西周(にしあまね)

「幕末維新史探訪2026」の初回として、西周を取り上げたい。西は、単に西洋の知識を日本に紹介した一学者ではない。西洋哲学の導入と、その抽象概念を日本語へと翻訳する前人未到の事業を通じて、近代日本の知的インフラそのものを設計した「思想の建築家」であった。

 西の生涯と思想は、封建社会から近代国民国家へと移行する日本の激動期そのものを体現している。幕末の儒学者として出発し、洋学の探求者となり、ヨーロッパで法学・政治学・経済学などを体系的に学び、そして帰国後は新国家の設計にまで関与したのだ。

 今回は、この知的巨匠である西周が、時代の要請といかに格闘し、日本の近代化の礎を築いていったのか、5回にわたってその軌跡をたどりたい。