ロシアも中東も、地政学リスクは相変わらず
ウクライナはロシアの石油関連施設の攻撃範囲を拡大している。
ウクライナ政府は19日「地中海の公海上でロシアの『影の船団』に属するとみられる石油タンカー1隻をドローン(無人機)で攻撃した」と発表した。約4年に及ぶ戦争中、同海域での攻撃は初めてだ。
そのせいでカザフスタンはとばっちりを受けている。
ロイターは24日「カザフスタン産原油の主要油種であるCPCブレント油の12月の輸出量は日量114万バレルと昨年10月以来の最低水準となる見通しだ」と報じた。ウクライナが11月末に攻撃したロシアの黒海港ノボロースク近郊にあるカスピ海パイプラインコンソーシアム(CPC)の施設の修繕作業が遅れていることが原因だ。
中東の地政学リスクもくすぶり続けている。
米国政府は18日、イラン産原油を輸送する「影の船団」に対する新たな制裁を発動した。対象は29隻の石油タンカーとその運航企業だ。
欧米諸国の制裁下でもイラン産原油の輸出は好調だ。欧州調査企業ケプラーによれば、今年の輸出量は前年比5%増の日量約167万バレルになる見込みで、米国がイラン制裁を再開した2018年以来の高水準だ。
トランプ氏は核開発を続けているイランに最大限の圧力をかける姿勢を示しているが、「本気では取り締まっていない可能性がある」との指摘が出ている。イラン産原油の輸出が減少すれば、国内ガソリン価格の上昇圧力になるからだ。
イスラエル要因も再び頭をもたげ始めている。