フルタイム正社員でも仕事のタスク分解と再設計で“コア職務”は移せる
筆者が研究顧問を務めるしゅふJOB総研の調査では、それを裏付けるような結果が出ています。仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に「いま最も望ましい雇用形態」を尋ねたところ「フルタイム正社員」と答えた人はわずか9.3%でした。
ところが、家庭の制約がなく100%仕事に時間を使える専業就労者であればどうか尋ねると、フルタイム正社員を望む人が43.3%へと4倍以上に跳ね上がります。回答した主婦・主夫層の95%は女性。その中には希望が二重構造になっていて、本当はフルタイム正社員で働きたくても望むことすらできない人がたくさんいるのです。
管理職についても然り。女性に管理職を希望するかどうか尋ねると「希望する」と回答した人は24.1%でした。しかし、専業就労者であれば「希望する」と答えた人は57.2%。行く手に見える急な上り坂の存在が、多くの女性の本当の希望を抑え込んでいるのです。
そもそも、家オペレーションの負担が女性にばかり偏っていること自体が問題ですし、仕事することだけが活躍でもありません。にもかかわらずワークライフバランスを捨て、モーレツに働く高市首相の姿は一歩間違うと、「行く手の上り坂を回避する女性に活躍する資格などない」という誤ったメッセージとして伝わってしまう懸念があります。
とはいえ、仕事をしているとどうしても多くの時間を費やさなければならない時はあるものです。クリエイティブ職や研究開発職など、仕事に没頭し続ける中で成果につながる鍵が見つかるような場合や、起業した事業を軌道に乗せようと悪戦苦闘している場合、少数与党としてスタートした高市首相の状況も当てはまるでしょう。
しかし、それらの仕事でも細かいタスクに分解していけば、無駄を洗い出して時間短縮できたり、一部のタスクを他の人材に任せたり、AIなどの機械で自動化して時間当たりの仕事密度を高め、生産性を向上させられる工夫改善の余地が見えてくる可能性があります。
パートタイムで働く人の多くはフルタイムで働く人以上に集中力を高め、退勤時間までの短時間で求められる成果を出して仕事を終えられるよう取り組んでいます。
フルタイム正社員しか担当できなかったコア職務でも、付随するタスクを切り離すなどの業務改革ができれば政府の骨太方針にも明記されている短時間正社員を導入しやすいはずです。高い集中力を発揮してパートタイムで働いていた人も、正社員として活躍する選択肢が生まれます。
共働き世帯が増え続ける中、女性活躍推進には仕事と家庭の両立を実現しつつ職場でも存分に力を発揮して、活躍に見合った給与を得られる仕組み構築が不可欠になってきます。
もし、高市首相がどこかで区切りをつけ、「これからはワークライフバランスをとりながら、首相としての責務をしっかり全うします」と改めて宣言すれば、今度は「行く手の上り坂を恐れる必要などない」というメッセージへと180度変わることになりそうです。