日本でも“AIリストラ”は避けられない時代に(写真はイメージ、Stock-Asso/Shutterstock.com)
(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
1年で3倍近くに伸びている日本人の「生成AI利用率」
職場を含め、AIの利用は身近なものになっています。特に生成AIが普及したことで、用途が一気に拡大しました。専門家しか使えない高度なツールだったAIが、誰もが手軽に利用できるツールになってきたのです。
しかし、AIの普及は良いことばかりとは限りません。最近では「AIリストラ」という言葉を目にする機会が増え、漠然とした不安感を広げつつ雇用情勢をも変えようとしています。
主な発信源の一つはアメリカです。マイクロソフトやアマゾンなど、名だたる企業が相次いで人員削減を進めていると報じられています。また、ソフトウェア開発などに携わる若手層の雇用が減少しているという大学の調査結果も話題となりました。
日本でも、決して他人事ではありません。職場ではAIを活用する動きが進んでいます。黒字企業が希望退職を募るのは、AI活用と無関係ではないと指摘する声もあります。日本にも訪れつつあると感じるAIリストラの波は、職場をどのように変化させ、働き手はどう備えればよいのでしょうか。
総務省の「令和7年版情報通信白書」によると、生成AIサービスを使ったことがある人は2024年度で26.7%に達しました。アメリカの68.8%、中国の81.2%に比べるとかなり低い水準ですが、日本における2023年度の利用率が9.1%だったことを考えると、わずか1年で3倍近い勢いで伸びていることが分かります。
そもそもAIは、職場に限らず私たちの生活の中にもすでに深く入り込んでいます。冷蔵庫やエアコンなどの家電製品、スマートフォンに搭載されているSiriやGoogleアシスタントのような音声アシスタント、保険をはじめとする各商品のカスタマーサポートで使われるチャットボットなど、AIはあらゆる場面で活用されています。
賛否両論はあるものの、学生がChatGPTやGeminiなどを学習に使うケースもいまでは珍しくなくなりました。自分では意識していなくても、多くの人が日常において何らかの形でAIと関わっているのが現状です。