第5回WBC決勝で前回王者の米国を下し、雄たけびを上げる大谷翔平(写真:共同通信社)
2026年3月開催の第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、米国代表が異様なほど前のめりになっている。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が主将格として前面に立ち、すでに「コミット済み」として名前が並ぶ顔触れだけでも、米国代表の本気度は隠しようがない。
ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ(写真:Jon Robichaud/CSM via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)
さながら「銀河系軍団」の米国代表
打線では強肩強打の捕手ウィル・スミス(ドジャース)に加え、今季ナ・リーグ本塁打王のカイル・シュワバー(フィリーズ)、コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)、ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)、ア・リーグ本塁打王カル・ローリー(マリナーズ)ら守備位置も打撃タイプも異なる“核”が早々に押さえられている。
投手陣もまた、ナ・リーグのサイ・ヤング賞右腕ポール・スキーンズ(パイレーツ)がいるだけでなく、デビッド・ベッドナー(ヤンキース)らに2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いた最強左腕のタリク・スクバル(タイガース)や剛球クローザーのメイソン・ミラー(パドレス)まで加わり、すでに「短期決戦の勝ち筋」を設計しに来ているのが透けて見える。
前回大会で1番を打ったムーキー・ベッツ(ドジャース)は家庭の事情で欠場見通しと報じられた。しかしながら一方ではまだ正式表明に至っていないスター、例えばブライス・ハーパー(フィリーズ)らMLBの看板スタークラスや、いわゆるファイブツール級の万能型に至るまで、米国内の世論とメジャーリーグ機構内の空気が「次は出る番だ」と静かな圧力をかけ始めている。
結果として米国代表は次回WBC参戦表明者の羅列そのものが、すでに相手国にとって心理的な壁になる段階に入っており、米メディアの言葉を借りれば「代表チーム」というよりも、MLB全体の威信を背負った「選抜軍」へと変質しつつある。「史上最強」「銀河系軍団」などと評されているのも、うなずけるところだ。
