サイバー&デジタルなヒーロー
1999年当時の最先端であったデジタルロックとY2Kサイバーな未来感の融合。世界的なオルタナティヴロック隆盛もあり、ヴィジュアル系黎明期を支えたアーティストたちが洋楽傾向へ流れていく中、インダストリアルロックをベースに前衛的な音楽を、ヒーローものの二次元的な世界観と歌詞でデフォルメ的に噛み砕き、キャッチーな楽曲へ落とし込んだのがmachineだった。
日本におけるインダストリアルロックの先駆者であり、デジタルと生演奏の融合を掲げた、hideの“サイボーグロック”を共に作り上げてきたKIYOSHIと、日本語を崩しながらのクセの強い発声が、ヴィジュアル系ボーカルスタイルのひとつの完成型となったHAKUEI。2人が放つパワーと説得力は凄まじいものがあった。
〈やがて僕は鳥になり 必殺技を繰り出す——「Hero」〉
インパクトを放つ昭和アニソン風の歌詞を歌う、サイバーロックスターが登場した『ミュージックステーション』にブチのめされた少年少女がどれほどいたことか。
2人の眼帯やスカウター、サイバーでメカニカルな衣装とヴィジュアルも親しみやすさを生んだ。イケメン長身フロントマンHAKUEIと、ギターを低めに構えたシルエットのカッコよさはシーンでも群を抜いていたKIYOSHI。戦隊モノやロボットアニメのキャラクターをそのまま二次元的ロックスターに昇華した、まさに俺たちのヒーローだったのだ。