輸入米急増、インバウンド減による価格下落も
短期間に高騰した価格は海外から安いコメも呼び込む。貿易統計で民間のコメ輸入量は4〜9月に8万トンを超え、前年同期の200倍以上に急増した。政府が無税で輸入する最大77万トンのミニマムアクセス(MA)枠と異なり、民間企業による輸入には1キロ341円もの高関税がかかる。しかも今は円安だ。それでも国内価格が急騰した結果、海外産のコメは高関税を払っても日本のコメと勝負できる競争力がついた。
今月の日本経済新聞に興味深い記事があった。タイの農家が日本のコメ市場に商機を見いだし、コシヒカリを増産して輸出するという。生産者は「風味は日本のコシヒカリにも劣らない」としている。しかも、タイでは年間2〜3回の収穫が可能で、その分、生産性は高い。輸入米が急増すれば、これも高値を崩す要因になり得る。
日中関係が悪化し、中国が訪日自粛を呼びかけたことでコメのインバウンド需要に影響する可能性もある。鈴木農相が推した「おこめ券」の配布策は在庫消化に結びつくが、実際に配布するかどうかの判断を任された自治体からは、配布にかかる経費や物価高対策としての効果について疑問の声が多い。短期間にあまりに上昇してしまったコメ価格。消費者は離れ、市場は先安観に傾いた。


