五代・蔦屋重三郎 喜多川竹吉が名跡を継いだ理由は?

 五代・蔦屋重三郎となったのは、喜多川竹吉だという。

 木村捨三「耕書堂蔦屋重三郎」(『日本書誌学大系 31(3)木村仙秀集 三』所収)には、著者が喜多川竹吉の家を訪問して、直接、当人から聞いた話が記されている。

 それによれば、喜多川竹吉の母は蔦屋の出身で、八丁堀の石問屋・松屋芳兵衛の家に嫁いだ。

 だが、実家の蔦屋に継嗣が絶えたため、松屋の二男である竹吉が蔦屋の養子に入り、その名跡を継ぐことになったのだという。

 このように蔦屋重三郎は五代目まで続いたが、初代を超える事績を挙げることは叶わなかった。

 ドラマの蔦重と同様に、初代・蔦屋重三郎も才気溢れる「べらぼう」な人物だったのだろう。