同氏は、続けて「私たちはそのことにとても感謝しています。なぜなら、誰もがそれがどれほど重要かを理解しているからです」とも言っています。この“感謝”の対象は、ウクライナ軍とも読めますが、誰もが理解しているという言葉も鑑みれば、これはアメリカ以外のウクライナの友人、つまり欧州諸国の協力が得られる可能性が考えられます。

 前述の通り、TERCOMを搭載する最も有名な巡航ミサイルはトマホークですが、トマホークは1980年代に配備が開始されたミサイルで、TERCOMも当初から搭載されていたため、TERCOMという技術自体は半世紀近くも前から存在します。当然、トマホークのコンセプトを模倣したミサイルは各国で開発され、独自に開発されたTERCOMが搭載されています。その中にはロシアや中国だけでなく、ノルウェーのNSM、ドイツのタウルス(KEPD 350)などがあります。また、既にウクライナに供与されているストームシャドウにはTERPROMというTERCOMに近いシステムが搭載されているものもあります。

 タウルスを運用しているドイツは、もちろんマップセットを持っていることになりますが、タウルス供与の話が進まない背景には、このマップがトマホーク用のマップセットと何らかの関わりがある可能性もあります。

 とまれ、マップセットを製作するための高度な偵察技術は、欧州も保持しています。そして、それに基づいてTERCOMを開発、運用しています。フラミンゴ用にデータ変換などが必要かもしれませんが、供与することは可能でしょう。

課題をクリアしたフラミンゴの能力は?

 では、マップセットが得られた場合、フラミンゴはどの程度の能力を発揮する可能性があるでしょうか?

 シュティリエルマン氏は、TERCOMにより画期的な効果が得られるのかという記者の追加質問に対して、「試験中です。詳しくは言えませんが、地上30~40メートルの高さなので、地上からは見えません」と答えています。