シュティリエルマン氏は、TERCOMを備えたフラミンゴにとっての脅威は迎撃機だと答えましたが、警戒、発見する段階では迎撃機以上に脅威なのは早期警戒管制機です。
2022年の全面侵攻後、2機のA-50を撃墜したこともあり、A-50の残り稼働機は少ないといわれていました。A-100を完全破壊に至らしめたことで、早期警戒管制機による警戒監視は、より困難になったでしょう。
さらに、タガンログへの攻撃では、同時に空中レーザー実験機A-60とIl-76輸送機も破壊されています。
この2機のうち、特に注目なのはA-60の方です。アメリカのAL-1に相当するレーザー搭載実験機ですが、計画が中止されたAL-1と同様にA-60の方も2016年以降動かされた形跡がなく、機体は恐らく飛行不可能な状態だったといわれています。破壊する意味がない機体を破壊したのは、A-60の改造前のベース機が、A-50と同じIL-76MDだったからではないかと思われます。つまり、航空機部品が共食いされる可能性があるため破壊したということです。
タガンログへの攻撃は、フラミンゴのTERCOMが十分に機能せず、極低高度飛行が不可能であるが故に行われたとみることもできますが、いずれにせよ、この攻撃で、ロシアがフラミンゴを防ぐ能力は低下しました。
トランプ大統領による、ウクライナへの政治的な圧迫は脅威ですが、軍事的な面では、ウクライナには希望も見えています。