TERCOMを搭載することで高い防空網突破能力を持つとされる代表的なミサイルは、前述のトマホークです。そして、トマホークの運用にはアメリカ国家地理空間情報局がTERCOMマップセットとして製作したものが必須となっています。
なお、日本でのトマホーク導入に際しては、このデータセットも同時に購入することになるはずですが、極東エリアのものに限るなどの制限が課される可能性も考えられます。
アメリカが、ウクライナにトマホークを供与するという話がありました。検討はかなり進んでいたようで、当然ながらマップセットも合わせて供与することになっていたはずです。
この点を考えると、フラミンゴへのTARCOM搭載は、このトマホーク用のTERCOMマップセットの流用を計画していた可能性が考えられるのです。
ただし、この流用は当然アメリカの許可なしには行い得ないはずですが、同社はその許可を得ることを考えていた節があります。それは、このカンファレンスにも登場していた、マイク・ポンペオ氏がファイアポイントのアドバイザーに就任したことからみてとれます。ポンペオ氏のアドバイザー就任は、先月11月17日とされており、時期を考えるとTERCOMマップセットの流用をアメリカにロビイングするためだった可能性が考えられます。
しかし、トランプ大統領がロシアに接近する姿勢を示したことで、ウクライナへのトマホーク供与は絶望的な状況になっています。マップセットについても同様でしょう。
課題はクリアできるのか?
シュティリエルマン氏は、ロシアの地形図を持っていないとした発言に続き、「この問題は軍によって非常に迅速に解決されており、近い将来に解決されることを願っています」と述べています。
ウクライナ軍が独自にマップセットを製作しようとしている可能性はあります。しかし、高度な偵察能力が必要な作業であるため、筆者は別の可能性が高いのではないかと考えています。