記者は、フラミンゴのロシア軍防空網の突破能力について質問しました。それに対して、シュティリエルマン氏は、TERCOMシステムに基づいて地図マッチングを実行すると答えています。

 今まで、フラミンゴはTERCOMを備えておらず、誘導、ナビゲーションシステムはGPSとINS(慣性航法装置)だと伝えられていました。搭載されているとの分析もあったかもしれませんが、少なくとも信頼性の高い情報では、TERCOM非搭載とされていたのです。

 TERCOMを備えていない場合、GPSのスプーフィング(ジャミングの一種)が行われると、バックアップとして搭載されているINSでの誘導となるため、ミサイルの誘導精度は大幅に低下します。

 そして、それ以上に重要なこととして、たとえスプーフィングが行われていない場合でも、ミサイルの現在位置把握が不正確となり、飛行経路上で地面に激突しないようにするために、ある程度の高度をとらなければならなくなります。つまり、極低高度での地形追随飛行(NOE:Nap of the Earth)が不可能なのです。

 このTERCOMを備えたトマホークの供与が政治問題となり、ロシアが強硬に反発するのは、トマホークがまるでヘリコプターのように地形追随飛行を行い、防空網を突破して目標を破壊する能力を持つからなのです。

既にロシア領への攻撃に投入済み

 地球がなめらかな球だと仮定した場合、地球の曲率の影響により、地上10メートルに置かれたレーダーが、高度50メートルを飛行する飛行物体を発見できる距離は38.8キロメートルとなります。これ以上離れた機体は、機体が地平線の下となり、発見することができません。

 実際の地球は、起伏がある上、森や建物があるため、ある程度高い位置にレーダーを置いたとしても、レーダーから40キロメートル離れた位置を高度50メートル以下で飛行すれば、発見することはほぼ不可能だといえるのです。