流行の「名作のリアル」を回避した英断

 これらの流れを決定づけていく重要な分岐点として、堀井雄二がサマルトリア王女に「お兄ちゃんの仇っ!」と短刀を主人公に向ける劇的展開を排除したのは、幸いな英断であったといえる。

 もしここで、ダークなラストが採用されていたら、その後のJRPGの発展はなかったに違いない。

 堀井雄二も当時の「名作のリアル」を許容する風潮と、個性的な作家性から、大胆なバッドエンド案を構想した。

 しかし、堀井氏はその思いを抑え込み、それを選ばない英断を下したのである。

 ところで、ドラゴンクエストI&IIのリメイク作をプレイし終えた方へ。

 この『ドラゴンクエストII』には、もう一つ、別のスピンオフ作品として、『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』という作品がある。

 こちらのハーゴンも、リメイク作以上に生き生きしていて、非常に楽しいのでプレイされることをお勧めする。